Kindle Unlimitedを読みつくす!

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2020/7/2

その5 石川啄木 ローマ字日記 Part5

十日 土曜日 昨夜は三時過ぎまで床の中で読書したので、今日は十時過ぎに起きた。晴れた空を南風が吹きまわっている。 近頃の短篇小説が一種の新しい写生文に過ぎぬようなものとなってしまったのは、否、我々が読んでもそうとしか思わなくなってきた・・・つまり不満足に思うのは、人生観としての自然主義哲学の権威がだんだん無くなってきたことを示すものだ。 時代の推し移りだ!自然主義は初め我らの最も熱心に求めた哲学であったことは争われない。が、いつしか我らはその理論上の矛盾を見出した。そしてその矛盾を突っ越して我らの進んだ時 ...

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2020/7/1

その3 石川啄木 ローマ字日記 Part4

九日 金曜日 桜は九分の咲き。暖かな、おだやかな全く春らしい日で、空は遠く花曇りにかすんだ。おととい来た時は何とも思わなかった智恵子さんのハガキを見ていると、なぜかたまらないほど恋しくなってきた。「人の妻にならぬ前に、たった一度でいいから会いたい!」そう思った。 智恵子さん! なんといい名前だろう! あのしとやかな、そして軽やかな、いかにも若い女らしい歩きぶり! さわやかな声!二人の話をしたのはたった二度だ。一度は大竹校長の家で、予が解職願いを持って行った時。一度は谷地頭やちがしらの、あのエビ色の窓かけの ...

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2020/6/26

その3 石川啄木 ローマ字日記 Part3

4月8日の続きです。 --- 京都の大学生が10何人、この下宿に来て、7番と8番、すなわち余と 金田一君との間の部屋に泊まったのは、今月の1日の事だ。 女中は皆大騒ぎしてその方のようにばかり気を取られていた。 中にもお清-5人のうちでは一番美人のお清は、ちょうど3回 もちの番だったから、ほとんど朝から晩-夜中までもこの若い、 元気のある学生共の中にばかりいた。みんなは”お清さん、 お清さん”と言って騒いだ。中には随分いかがわしい言葉や、 くすぐるような気配なども聞こえた。余はしかし、女中共の 強度にちらち ...

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2020/6/25

その2 石川啄木 ローマ字日記 Part2

8日、木曜日 たぶん、隣室の忙しさに紛れて忘れたのであろう、(忘れるというのが既に侮辱だ。 今の余の境遇ではその侮辱が、また、当然なのだ。そう思って余はいかなる事にも笑っている。) 余は考えた。余は今までこんな場合には、いつでも黙って笑っていた、ついぞ怒ったことはない。 しかしこれは、余の性質が寛容なためか?おそらくそうではあるまい。仮面だ、 しからずば、もっと残酷な考えからだ。余は考えた、そして「ティウォテ女中」を読んだ。 空は穏やかに晴れた。花時の巷は何となく浮き立っている。風が時々砂を巻いてそぞろゆ ...

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2020/6/24

その1 石川啄木

今日からKindle Unlimitedを読み尽くす!をスタートします。 今年から1年365冊を読むことに決めたので、毎日書けるとは思います。 基本的には感想文を書きたいと思うのですが、ローマ字日記はあまりに読みづらいので日本語に書き換えてみようと思っています。 啄木の日記は1909年4月7日~17日の11日間。 11日シリーズで毎日1日分を掲載していきたいと思います。 約110年前の日本、東京を知るいい機会になりそうです。 == 4月7日 本郷区森川町1番地 新坂359号 外塀館別荘にて。 晴れた空に凄 ...

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