昨日記憶に関していろいろ書きました。
私が今考えている記憶に関する仮説は、
「記憶は永続するものではないか」
というものです。脳に重大な疾患が発生した場合は失うかもしれませんが、おそらく脳が知覚したデータはすべて保存されていて、死ぬまで消えない。
一方、私たちが「記憶」と呼んでいるものは、おそらくデータベースにおけるインデックス(索引)ではないだろうか。リレーショナルデータベースは、インデックスが作成されていないと、テーブル全体をスキャンするため、莫大なコストがかかります。
また、データベースをご存じである方は当然知っていることですが、インデックスは一部データを含みます。ある列が検索条件に含まれやすい場合、その列にインデックスをはりますが、複数の列を対象にインデックスをはったり、インデックスの中に付加列として幾つかの列データを含むこともできます。
人間の脳にはデータベースとインデックスがあって、私たちが直接アクセスできるのはインデックスではないだろうか。そうだとすると、「インデックスの効率的な作り方とメンテナンス方法を知れば”忘れにくく”なる」と思うんです。
私が子供の頃からずっと疑問だったのは、「単語を忘れているのに、本を読み返すと”あーーーっ!”ってなるのはなんでだろうという事でした。忘れているはずなのに。
人の名前も思い出せないのに、教えてもらうと”あーーーっ!”ってなる。つまり、脳内にデータは残っているのです。過去にしたことを完ぺきに忘れている場合(言われても思い出せない場合)、そのデータは抹消されているか、もしくは検索できない状態(おそらく検索範囲外になっている)と考えますが、正直少しでも覚えていることと完全に忘れていることでは、覚えている方の方が圧倒的に多いです。ただ、思い出せないことが多いのですが。確認すると思い出す。
脳のインデックスはAIには理解しがたい代物だと思います。脳のインデックスはデータのリンクがなかばランダムに外れるし、インデックスからあるデータの目次そのものが消えることもあります。
インデックスとデータのリンクが外れることは、
・覚えているが思い出せない、が該当すると思いますし、
インデックスから索引そのものが消えることは、
・忘れていたが、言われて思い出した、が該当します。(インデックスが再生成される)
私が思うに、脳の記憶データの容量はほぼ無限(人生100年で処理できるデータというレベルでは)で、インデックスの容量は制限があり、かなり小さい。そして、もし今後の脳科学でインデックスのメカニズムが解き明かせれば人は忘れなくなるのではないかと。
そして、現在のRDBMS(リレーショナルデータベース)は、脳の仕組みをロジカルに考えてみた帰結ではないかと思うのです。