今日はこの本のミニ逐語記録、その3です。
Cl:自分は劣っているのではないかと思っています。個人的にそう思うんです。
Co:君は自分には能力がないと確信している、そういうことですか?
Cl:そうです・・・。
Co:もう少しその事について話してくれませんか?
Cl:はい、つまり、人類学にちょっとした興味をもってきました。特に犯罪人類学
なんですが。ずっと、他人の体格を比べているのですが、僕の体格はどうも劣
っているようなんです。そうとしか思えないんです。それで、各個人の行動はも
しかしたらその体格の反映なのかもしれない、と感じるんです。そう信じています。
Co:そうすると、他人の体格を見ると自分は劣っていると思ってしまうんですね。
つまり下の下だというふうに。
Cl:ちょっと違います。そこまでは言っていません。
Co:でも君は標準よりずっと下なんでしょう?
Cl:そうです。僕が感じているのはまさにそこです。なので自分の心を変えるに
は、何らかの根本的な根拠がなければだめなんじゃないか、そう思うんです。
Co:そして、経験上それ以外の方法では誰も君を納得させることができないと感じている。
Cl:そうです・・・。
Co:君がそこまで確信しているという事は、何らかの経験に裏付けられているんでしょうね。
Cl:うーん、えーと・・・どうしてそう思うようになったんだろう・・・。正確には思い出せま
せん。自然の成り行きな気がします。はっきりとしたきっかけは思い出せないんですが、
成長の過程でそういう風に考えるようになったのだと思います。はっきり覚えているこ
とは、すべてが体格と結びついていたという事です。はじめは体重を増やしたかった
んです。またある時は背を伸ばしたかった。幸せは慎重に比例するとさえ思っていまし
た。今考えるとバカげたことなのですが。
Co:当時は本気で信じていたわけなんですね。
Cl:本気でしたよ。
Co:そういう風に考えるようになった心当たりは?
Cl:えーと、僕は小さかったので、大きな人がうらやましかったんです。昔、周りの子供
に殴られていました。でもやりかえせませんでした。何か関係があるかもしれません。
やられてばかりでいつも恨んでいました。この経験が関係しているのかな。。。
Co:敗北した経験をたくさん抱えてきたんですね。
Cl:そうなんですよ。挫折を繰り返してきました。
Co:その辺のことをもう少し話してくれませんか?
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カウンセラーの会話は、ほぼ「もう少し詳しく聞かせて」と「クライエントの言葉の
キーワードの言いかえ」のみ。ただ、一部「下の下」の部分で飛躍が見られ、
そこはクライエントに訂正されています。クライエントの感情の根源を知りたいと
いう関心(あなたのことが気になるマインド)、それがとてもシンプルに表現されて
いる感じがする逐語ですね。この頃思うのは、
・言い換えの訓練、しかもクライエントが受容しやすい、つまりはクライエントの
タイプをできるだけ早く(若しくは事前に)察知し、タイプに応じた言い換えを
行えるようになること
・まさに今のライブの感情の理解に努め、その感情もタイプに応じて表現する
こと
この2つがPCAの神髄であり、後はこの学び方をまず既存の書籍から探し、なけ
れば作っていけばいいのではないか、そう思っています。
まあ、上記2つをできるようになるための態様が「一致」「無条件の積極的関心」
「共感的理解」。この3つの定義と「共感的理解の表現」の定義(上記)。
さらには各定義を満たすにはどのようなエクササイズが必要か。まだまだ
学び始めた段階なので、年末のお休みで現時点の「トウゴ流PCA」を纏め
ようと思いますが、